棚田の風景

 毎年この時期にこの場所の風景を空撮してきましたが、年々、黄金色に輝く田んぼは少なくなり、草茫々の田んぼが増え、そして灌木が育つ田んぼになる変化を見るにつけ本当に寂しくなります。

 高齢化が進み、農業では生計が立てられない今の日本農業では、後継者が育つ筈もなく、特にほ場整備がされていない条件の悪い地域では農地の放棄が進んでいきます。

 これまでの棚田の担い手であった70代後半から80代の方々がまもなく病気や寿命を迎え耕作できなくなれば、この変化のスピードは加速し、あと5年もすれば全て放棄地になるのではないかと懸念しています。

 何世紀にも亘り百姓の汗と涙で耕作・整備されてきた棚田が、機械化進んだ今維持できないとは一寸滑稽な感じですがどうすることも出来ません。

 社会ではSDG’sなどと云っていますが、農業すら守ることが出来ない社会が果たして持続可能な社会なのか?と大きな疑問を感じます。

 現実をしっかり注視せず、コンピューターの画面や人の報道だけを見聞し、理想や理屈を捏ねる政治家や学者そして役人からこの現場を是非見て貰いたいと思います。